探究的な活動

探究的な活動とは

日常生活や様々な出会いといった出来事の中でいろいろなことを感じて、自分の考えが構築されていきます。その中で課題や疑問に感じることもあるでしょう。日常で感じる疑問や課題、世の中の諸課題など、その課題の大きさはそれぞれですが、何事も自分事としてとらえることが重要です。そのような課題の中で、「自分自身のみならず社会がより良くなるには」という視点を持って考え深めていくと、「こうしたら自分の周りの人が幸せになる」「これがあれば世界の人々の生活が豊かになる」といった「志」が生まれます。「志」に向けて、自らの役割を自覚し課題解決に向けて取り組む中で、新たな課題が発生し、その新たな課題の解決に向けて動きだしていきます。本校では、志に向けて自分が主体的に取り組み実現する力を志力と呼び、「志力を持って未来を創る女性」の育成をスクールミッションとして掲げています。探究的な活動は志力の育成の流れと同じであるため、積極的に取り入れています。

 

探究的な活動の流れ

Step1【課題設定】 :世の中の事象に興味・関心をもち、それと自らを関連付けて、課題を設定する
Step2【仮説設定】 :問題解決にあたって、自分なりの仮説を立て、それを立証するための方法を検討する
Step3【仮説検証】 :仮説の検証のために考案した方法を実行して仮説が正しいか検証する
Step4【新仮説設定】:仮説の検証結果から、新たな仮説設定とその検証を繰り返し、課題解決に向けて進む

 

また、自分自身のみならず社会がより良くなるための課題を解決していくという前提に立ったときに、課題解決するためには他者との協働、そして他者に分かりやすく伝え、共感してもらうことが重要となります。そのためには、明確な根拠をもたせた上で論旨を他者に説明することが必要です。この力をつけるために、原則として、データ分析を通じて根拠を得るという作業を探究計画に組み込むことにしています。

本校はSSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定されていますので、高1全員および高2の理系の生徒はサイエンスをテーマにした内容となりますが、高2の文系の生徒はSDGsのような社会課題のテーマに取り組み、アンケート等で得られるデータの分析を通して課題解決することも可能です。

Academic Day

各学年での課題探究の発表の場として、2つの大きな校内発表会の機会を設けています。

Academic Day(2学期)

高校2年の課題探究の中間成果発表、探究Basicの発表となります。全教員と課題探究に協力する卒業生TA(ティーチングアシスタント)及び外部の参加者が評価および助言を行います。質疑応答を通して新しい課題を発見し、課題探究を深める機会としています。また、様々な立場の人からの評価を受けることで、課題探究に向かいあうモチベーションを高めることができます。

Academic Day Final(3学期)

高校2年の課題探究の最終成果発表、探究Basicを継続した生徒の最終成果発表となります。高校2年生の成果発表を聞くことで、高校1年生以下の生徒が探究活動に対する視点や方法などを学び、より深い探究活動につなげる機会としています。また、上記の探究活動以外で、学内・学外にかかわらず自分の興味や関心を深めるべくイベントや企画に取り組んできた生徒(模擬国連、T-STEAM、3か月留学等)も、発表を行います。

探究的な活動を目標とした授業

探究的な活動に取り組む授業・課外活動を全学年に組み込んでいます。

総合的な学習の時間・特別活動(中学1年、中学2年)

企業と連携し、社会課題の発見や解決に向けての議論を行います。議論を行い、解決方法を提示するところまでは全員で行いますが、その後、より深く取り組みたいという生徒は、 Academic Dayで発表します。また、その中で、アイデアを実際の社会の中で実装するということも後押ししており、議論するだけでなく、現実社会への活用も視野に入れて取り組んでいきます。

総合的な学習の時間・特別活動(中学3年)

高校1年生から本格化する課題探究に向けて、課題探究で必要となるスキルを学びます。データ収集および分析、情報の集め方、仮設の立て方や検証方法の考案などを、実践を通して学んでいきます。また、3学期には高校1年生から始まるグループでの課題探究に向けて、グループごとにテーマや仮説、検証方法を考えていきます。

総合的な探究の時間『科学探究基礎Ⅰ』(高校1年)

クラス単位ではなく、テーマごとにゼミを設定し、そのゼミ内でグループごとの探究計画を発表します。他のグループと質疑応答を繰り返す中で、より良い探究方法や考察のヒントが得られます。その後、4月下旬からは本格的に実験や観察、調査を開始します。2学期には学年の中で中間発表を行います。質疑応答や相互評価によるフィードバックを受けて,新たに見えた課題に向けて後半の課題探究に取り組みます。3学期には、最終成果発表会も行います。その後、高校2年で取り組む課題探究のテーマ・仮説を検討していきます。高校2年では、高校1年で取り組んだテーマを継続的に行うことも、あるいは新規にテーマを考えて新しい挑戦をすることも可能です。

総合的な探究の時間『科学探究Ⅱ』・『総合探究Ⅱ』(高校2年)

理系の生徒は『科学探究Ⅱ』、文系の生徒は『総合探究Ⅱ』と授業の名称が変わります。『科学探究Ⅱ』では主にサイエンスをテーマに扱いますが、『総合探究Ⅱ』は人文系・社会学系等のテーマを扱うことも可としています。2学期にはAcademic Dayで中間成果発表を行います。この発表では、全教員やTAとして協力している卒業生、そして外部からの参加者から評価や助言をもらえるので、それらをもとに後半の探究活動を深めていきます。最終的には、成果発表会であるAcademic Day Finalで発表を行います。また、文系・理系の生徒ともに、自分のテーマについての論文を提出します。

総合的な探究の時間(高校3年)

※2022年度高校1年生から適用される教育課程で実施予定のため、2024年度高校3年生から開始

高校3年生は、サイエンスをテーマにしたオムニバス講義とテーマが設定された課題探究に取り組みます(理系の生徒のみ週2時間)。2022年度の高校1年生から開始される新教育課程は、思考力・表現力・判断力が重視されるだけでなく、教科を超えて学びを総合的に深めることも必要とされています。その中で、高校2年生までの探究活動を通して培われた知識・技能を総動員して、より高いレベルの課題に向き合うような課題解決型の探究に取り組みます。これらは、大学での学びにもつながるだけでなく、これからの大学入試でも十分にテーマとなりうるもので、大学受験に向けた学びと並行して取り組むことで、大学受験に向けた学力向上にも効果があります。

探究的な活動を目標とした課外活動

中学生の希望者が取り組む探究活動として『探究Basic』があります。中学1年生は事前に設定された課題に取り組み、中学2・3年生は主に自分たちで設定した課題に取り組みます。授業時間に取り組むものではなく、課外の時間(主に夏期休暇)を利用して取り組んでいきます。2学期に行われるAcademic Dayで成果発表を行います。その後、継続したい生徒は、3学期にAcademic Day Finalで最終成果発表を行います。

T-STEAM

豊島岡独自のSTEAM教育

昨今、STEAM教育の重要性が挙げられています。STEAMとは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)の頭文字をつなげた言葉です。これら5つの領域を総合的かつ教科横断的に学ぶことで、実社会での課題解決に生かしていく力が育成されていきます。これまでの理科や数学の学習では、科学技術に対して理論を学ぶことが多くありますが、理論から実装に取り組むことで、思い描いたものを形にすることの難しさと奥深さを学ぶことができます。さらに、学びを深める生徒は、エンジニアリングの観点で検証をすることにも取り組み、より良いものを作るという社会貢献に対する意識も芽生えてきます。

豊島岡女子学園でのSTEAM教育全体をT-STEAMと呼び、低学年から段階的に取り組んでいきます。中学生では、総合的な学習や特別活動として、学年ごとにテーマを設定したモノづくり(T-STEAM:Jr)に取り組みます。また、希望制で行う挑戦性の高いモノづくり(T-STEAM:Pro)へ接続し、継続的にSTEAM教育に取り組みます。

積極的な失敗

教科の学習は、学ぶ内容が明確であり答えが一つに決まる問題を通して学習をすることが多くあります。この学習の過程の中で、教科で学ぶ知識は習得できるのですが、失敗を恐れて正解だけを求める傾向も強くなっていきます。失敗から学ぶ事は多く、次にどうすべきかを考え試行錯誤していく中で正解にたどり着く経験は、正解だけを学ぶ学習よりも価値のある学びとなります。T-STEAMでは、積極的に失敗し、その失敗から得られた経験をもとに次の工夫につなげてミッションを解決することを目的に取り組み、最終的には、コンテスト形式でその成果を発表していきます。コンテストに向けて、レギュレーションを設定し、全員が同じ条件のもとで取り組むことで、与えられた素材で創意工夫することが求められます。生徒達は、紆余曲折しながらも、それらの課題にチームとして取り組み、一つの目標に向かって努力していきます。

学校を超えて他者から学ぶ

モノづくりは一人ではなし得ないので、他者と協力しながら取り組むことが必要となります。他者から自分にはない様々な発想や視点や解決方法を学ぶことで、自己を向上させ、さらには、社会に出た後に必要となる協働性も養っていきます。希望制のT-STEAM:Proでは、校内の生徒だけではなく男子校を含む近隣他校にも参加してもらい、校内生だけでは出てこなかった発想・着想等を、学校を超えて他者から学べる機会となっています。参加校に実施したアンケート結果においては、モノづくりの奥深さを感じるだけではなく、純粋に楽しかったという声も多くあり、本校生徒だけでなく、非常に満足度の高い取り組みとなっています。