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T-STEAM:Pro 「筋電義手の開発・制御にチャレンジ」 2023.3.13

SSH特別企画

3月13日(月) 12:30~16:00、本校講堂にてT-STEAM:Pro 2022 「筋電義手の開発・制御にチャレンジ」~MyoElectric~ の競技会を開催しました。2021年度は校内のみの実施でしたが、2019年度実施の「衝撃を吸収する機構を開発せよ」以来3年ぶりに他校の参加も実現し、全19チームが参加しました。他校からは次の4校にご参加いただきました。

  • 浅野中学校・高等学校(チーム名「APC」)
  • お茶の水女子大学附属高等学校(チーム名「茶実子’s」)
  • 筑波大学附属駒場中・高等学校(2チーム参加「クルトーイ」、「筑駒高1チーム」)
  • 本郷高等学校(チーム名「本郷高校マイコン部」)

浅野中学校・高等学校は本校への来校が難しい日程であったため、競技は事前に動画で撮影し、当日はYouTube Liveで浅野学園から参加していただきました。

今回のテーマは筋電義手でした。筋電義手とは、高齢者、怪我をしている人、障害のある人を工学の力で助けるための学問である人間支援工学の分野で活用されている、人間の筋肉が動くときに出る電気を拾って制御する義手です。参加者は主に冬休みから本番までの間、競技本番に向けて「筋電義手の開発」と「アイデアのプレゼン動画」の作成に取り組みました。

競技会当日、参加者はアイデア部門優勝、競技部門優勝、総合部門(アイデア部門の結果と競技部門の結果で評価)優勝、審査員特別賞2つ、の全部で5つの賞の入賞を目指して競い合いました。アイデア部門はアイデアのプレゼン動画を視聴し、「アイデアの素晴らしさ」、「作成した義手の完成度」、「本番への期待感」の3項目をそれぞれ5点満点で参加者同士で評価し合い、合計点数で競いました。競技部門は100個の発泡スチロール球を1m離れたコップに2分間でどれだけ運べるかを競いました(下図参照)。

競技会当日はこの競技に最適な義手を各チームが考案し持ち寄ったため、様々な着眼点に基づく様々な義手が登場しました。競技会終了後、参加者との会話の中で「自分たちが実現をあきらめたアイデアを実装してきたチームがあって驚いた。」、「考えもしなかったアイデアに出会えた」などの声があり、互いを刺激し合えた会であったと感じます。

競技会に続き、東京電機大学機械工学科准教授 井上淳先生と同大学大学院工学研究科機械工学専攻第1学年 浅沼雄飛様より講義・講評をいただきました。

井上先生のご講演では作業機能を実現する様々な機構の紹介と、その機構を用いた動力伝達の例、最新のロボットの紹介をいただき、更にT-STEAM:Proの大きなテーマである「失敗の捉え方を変容し挑戦することの楽しさを経験すること」に関して、失敗とは何かについてもお話しいただきました。浅沼様からは大学院生の生活について、研究内容について、研究を通じて感じたことをお話しいただきました。

参加者はこの日まで真剣に筋電義手の開発に取り組んできたからこそ、講演を通じてこの先にこの分野で研究をしていくとしたらどのような日々なのかということを感じられたでしょうし、さらに先のロボットの開発のイメージも具体的に描けたのではないかと思います。

そして最終結果は、総合優勝 浅野中学校・高等学校「APC」、競技部門優勝 浅野中学校・高等学校「APC」、アイデア部門優勝 筑波大学附属駒場中・高等学校「クルトーイ」、審査員特別賞 本郷高等学校「本郷高校マイコン部」、豊島岡女子学園「てりやき」となりました。お互いを拍手でたたえて閉会となりました。

今年度のT-STEAM:Proも、本番だけでなく本番に向けた取り組みの中でも、沢山の挑戦をする姿を見ることができました。